「桐は優しい」
そんな言葉を聞くと、木材が優しいって何?と感じる方もいるでしょう。
しかし、私たちが桐という素材にこだわり、桐らくねをご使用くださるお客様の使い心地に徹底的にこだわったのは、「優しさ」が原点なのです。
美術を学びに留学生として日本へやってきた私は、知らない土地に来てとても心細い思いをしました。そんな私に対し、とても良くしてくれる日本の人々に触れて、「人の優しさ」に心を打たれました。
そこから、私の人生にとって「優しさ」というのが大切なキーワードとなっています。
新潟にやってきて会社員をしていた時、たまたま「桐」という素材に出会ったんです。
その時、「桐ってなんて優しい素材なんだろう」と心動かされ、桐に夢中になりました。
ぱっと思いつくだけでも、桐には人に優しい様々な特徴があります。つまり、桐は人々が健康的に生活するために、とても相性の良い木材だということなのです。
その桐の優しさを多くの方に伝えたいという想いからはじめたのが、私たち桐建材という会社です。
東日本大震災があったとき、知り合いが被災して、原発放射線の心配で我が家に避難をしたいと連絡がありました。
そして、知人は3歳とゼロ歳の小さい子供を連れてうちに来たんです。その時、床の上で授乳しているのを見て、辛そうにしていたので、「これはやっぱりベッドが必要だろう」と感じました。
以前に一度、桐の折りたたみベッドを作ろうと思いチャレンジしましたが上手くいかずに断念したことがあったのですが、この震災の出来事をきっかけに、もう一度チャレンジしようと心に決めたのです。
桐らくねは、製品化に至るまでに一年以上、何十回と試行錯誤を重ねました。
製品化し販売をスタートしてからも、「どうしたらもっとお客様に喜んでいただけるだろうか。毎日の多くの時間を過ごすベッドをより快適にできるだろうか。」と、お客様の声を聞き続け、改善改良を繰り返して現在の桐らくねが出来上がっています。
実は、現在の形は初期から数えて10代目。
お客様とともに作り上げてきたといっても過言ではありません。
寝心地はもちろん、丈夫さや起きたときの立ち上がりやすさ、折りたたむ際の軽さ・スムーズさ、床や畳を傷つけない設計・・・など、とことん「人への優しさ」にこだわって改善改良をしています。
「改善改良」と文字で書いてしまえば簡単に見えますが、その過程は決して簡単なものではありませんでした。何度も何度も細かな調整を行い、悩みながら今の形にたどり着きました。
2018年には、「桐らくねプレミアム」がグッドデザイン賞を受賞。
2020年第32回ニイガタIDSデザインコンベティション特別賞受賞。
さらに、最上級モデル「桐らくねプラチナ」が2020年度グッドデザイン賞ベスト100を受賞しました。
こういったデザインコンテストは、あくまで製品をより深く知っていただくための活動の一貫ではありますが、専門家からの評価をいただいたことは、私たちにとってとても大きな自信につながりました。
簡単に折りたためる桐のベッド。2018年にもその機能の高さで受賞しているが、今回も機能・デザイン共に更なる進化を感じる。機能面では中央部の構造が再設計され、よりスムーズな開閉と静音を提供し、使用時のゆがみも改善。デザイン面ではひとつひとつの部品が丁寧に見直され美しく端正に仕上がっている。そしてこの商品最大の特徴である、木製で軽い力で折りたためるという素晴らしい構造とデザインは、今回の進化を含め再度高く評価したい。ワークスタイルも変化し、これから家で過ごす時間が増えていく生活変化において、日本らしい空間の有効利用を助けてくれる選択肢の一つになりえると思う。
こうして私が「優しさ」にこだわって桐の折りたたみベッドの制作に向き合えたのも、日本に来たばかりの頃に「人の優しさを知ることができたから」だと思っています。
私たちは、桐らくねや桐の家具を通じて、優しさの輪を広げられたら...そんな願いを込め、これからもお客様に笑顔と快適さをお届けしていきたいと考えています。
長く愛していただける製品を。
優しさを感じて頂ける製品を。
人生をかけて、たくさんの優しさを製品を通じてお伝えしていきます。